
日本の新築住宅はほとんど2階建てですが、都心を離れた場所に30坪前後の平屋を建てるのもおすすめの選択肢。階段がない平屋の間取りは効率よく暮らせて、老後の生活も送りやすいです。
今回は30坪前後の平屋の間取りをテーマに、効率的な間取りづくりや注意すべきポイントを解説します。実際の平屋新築実例もご紹介しますので、間取りやデザインの参考にしてみてください。
目次
ジャストサイズな新築平屋のすすめ

日本の新築住宅はほとんど二階建ての間取りですが、30坪前後の平屋を検討してみるのもおすすめです。ジャストサイズの平屋が持つ魅力やメリットを見ていきましょう。
どこにでも手が届く効率的な暮らし
ワンフロアで生活が完結する平屋暮らしは、必要な物にサッと手が届く利便性の高さがあります。朝の支度やゴミだし、掃除や洗濯などの家事も効率的にこなすことができます。負担の軽減と時間短縮につながり、余裕のある生活を送ることができます♪階段の移動がなく、その分のスペースを収納や居住スペースに回せるのもメリット。
老後まで暮らしやすい
階段がなく効率的な移動ができる間取りの平屋は、足腰が弱ってくる老後も快適に暮らしやすいのが魅力。リフォーム費用をかけずにそのまま暮らすことができるため、老後の生活費を消費しない点も大きなメリットです。
家族とコミュニケーションをとりやすい
思春期を迎えるお子さんはどうしても自室で過ごす時間が増えてしまいますが、顔を合わせやすい平屋は自然にコミュニケーションが生まれるのもメリットです。お子さんの悩みや体調不良などの気付きにもつながります。
メンテナンスコストを抑えられる
無駄のないジャストサイズの平屋は、外壁塗装や内装の張り替えなどメンテナンスコスト面で有利です。単純に面積が少ないのと、作業効率が良いことが主な理由です。二階建てのように荷重がかからない分、ひび割れや歪が発生しにくい点もメリット。
効率的な平屋の間取りづくり
平屋のデッドスペースを有効に活用できる、効率的な間取りをピックアップしてご紹介します。平屋を検討するなら、ぜひ採り入れてみてください。
ロフト

天井高さを活かして床面積を増やせるロフトの間取りは、二階のない平屋との相性抜群。物置、子供の遊び場、書斎やワークスペースなど、多目的に活用することができて便利です。真夏は暑くなりやすいため居住スペースにするのは難しいですが、秋~冬は来客用の就寝スペースなどにも使えます。
天井高さを抑えるなどロフトのルールに収まれば、固定資産税がかからない点も大きなメリット。ランニングコストを抑えつつ居住スペースをアップできる、効率的な間取りです。
スキップフロア

ワンフロアの中で高さを変えてプライベートスペースを作れるスキップフロアは、個室より床面積を節約することができます。壁で区切らず解放感があるため、小さなスペースでも閉塞感が出ないのがスキップフロアの特徴。
床下に生まれたスペースを収納にできるのも大きなメリットです。収納が不足しがちな平屋のデメリット解消に役立てましょう。
吹き抜け

屋根の形を活かした大きな吹き抜け空間も、平屋と相性の良いおすすめ間取りです。天井の高さが上がると解放感が大きくアップするため、コンパクトなお部屋でも広く見せることができます。普通の天井高さのお部屋よりコンパクト化することができるため、移動効率が良い家づくりが可能です。
2階の無い平屋は特に吹き抜けを作りやすいため、リビングや居室などいろいろな場所に取り入れてみましょう。
小屋裏収納

吹き抜けをつくらないお部屋は、天井裏のデッドスペースを小屋裏収納として活用するのがおすすめ。ストーブや扇風機、季節ものの洋服など出し入れ頻度の低いアイテムをまとめて収納するスペースになります。お子さんが学校でつくった工作物などの思い出の品を大切にしまっておくのもおすすめです。デザイン性が必要ないスペースですから、シンプルに作れば費用を抑えて収納力を補えます。
リビング和室

リビングに隣接する和室は子育て・家事・テレワークなどさまざまなシーンで活躍する間取りアイデア。一部屋で複数の役割をこなしてくれるため、コンパクトな平屋の間取りにピッタリです。
ウォークスルーの間取り

平屋の床面積を効率的に活かすには、一つの部屋に二つの出入り口を設けてウォークスルーの間取りにするのもおすすめです。例えばウォークスルークローゼットは、収納と通路二つの役割をこなしてくれるので、床面積の節約につながります。動線効率も良くなって一石二鳥♪
30坪の平屋づくりで注意すべきポイント

一般的な広さの平屋で後悔や失敗につながりやすいポイントをピックアップしました。
収納量
新築住宅で悩みの上位に挙がることが多い収納不足問題は、平屋の場合特に注意が必要なポイント。居住スペースを優先しすぎると収納が足りず暮らしにくくなるため、必要な場所に必要な量の収納を作るよう心がけましょう。
平面だけで考えるのではなく、空間の高さを利用して小屋裏収納やロフトなどの間取りを作るのがおすすめです。
プライベートスペースの確保
家族全員が同じフロアで過ごす平屋の生活は会話しやすい点がメリットですが、反面自分の時間確保が難しいケースもあります。特に思春期を迎えるお子さんが居る場合は、勉強や趣味に打ち込めるプライベートスペースをしっかり確保してあげましょう。
しかし自室にこもってしまうのは寂しいですから、リビングにプライベートスペースをつくって家族が集まる空間に仕上げるのがおすすめです。
家事動線
一つのフロアが広くなる平屋の間取りは、水回りや物干し場の間取りに配慮しないと家事動線が長くなってしまいます。例えば、家の両端に洗濯機置き場と物干し場があると移動が長く非効率的です。なるべく動線が短くなるよう、家事に関する間取りは一か所にまとめるのが基本です。
間取りを考えるときは掃除・洗濯・買い物・ゴミ出しなど、なるべく細かく家事をシミュレーションしてみましょう。
採光性
1階の床面積が広い平屋は、建物の中心にいくほど窓から遠くなり自然光が入りにくくなります。高さが低いため、周囲の影響を受けやすいのも平屋の特徴。暗い部屋ができないよう、間取りの採光性にも注意しましょう。
建物の形に工夫して窓のない部屋をなくしたり、内窓を使ったりして隣の部屋に光を入れるなどさまざまな工夫ができます。二階の床がない平屋なら、天窓をつけて明るさを確保するのもおすすめ。
周囲からの視線
すべての生活が1階になる平屋の生活は、近隣住宅や通りからの視線にも注意が必要です。南向きの大きな窓をつくったら、前の道路の車や人からの目線が気になるというのはよくある失敗パターン。
幹線道路からリビングや寝室を離すなど、周辺環境にも配慮して間取りを考えましょう。間取りだけで対応が難しい場合は、生垣やフェンスなど外構で視線を遮る工夫も有効です。
防犯性能
1階の窓が多くなる平屋は空き巣犯に狙われやすいケースもあるため、防犯性能は要チェックポイント。共働きで日中留守にするケースや、旅行で長期家を空けることが多いなら特に重視しましょう。
ガラス破りを防ぐシャッターや雨戸、面格子があると大きな窓の防犯性能アップにつながります。最近は雨戸・シャッターをつけない新築も多いですが、平屋の場合よく検討しましょう。
土地取得費用
平屋は2階建てより広い土地が必要になるため、土地の取得費用が高くなる傾向があるため注意が必要です。土地にお金をかけすぎると、建物でお金が足りなくなってしまうことも。
土地と建物の費用バランスをとるため、早めの段階で私たち工務店に相談するのがおすすめです。総額の中でバランスを取り、予算オーバーを防ぎやすくなります。
水害に弱い土地ではないか
台風や大雨による洪水が発生すると平屋は逃げ場がないため、水害に弱い土地は基本的に避けましょう。自治体が用意しているハザードマップを確認して、浸水被害に遭いやすい土地は避けるべきです。
30坪の平屋新築実例

施工主様情報:O様
延床面積:31.1坪
竣工:2020年7月
家族構成:夫婦、子供1人
暮らしやすさのアイデアたたっぷり詰まった、約30坪の平屋実例をご紹介します。

高い勾配天井のリビングは、実際の床面積よりひろびろと見える空間に♪重厚感のある梁もリビングデザインの一部として機能しています。

リビング隣の小上がり和室は、間仕切りを開閉してリビングとつなげられる便利な間取り♪30坪でも狭さを感じず、家族が集まるコミュニケーションリビングになりました。
【事例詳細】⇒ワンフロアの快適さ。家全体が心地よくつながる平屋の家
30坪の平屋新築の費用相場は?

建築実例の少ない平屋は、どれくらいの費用が掛かるのか気になりますよね。 ・平屋の場合「30坪なら〇万円」は危険 自由度が高い二階建ての間取りならある程度の費用相場は分かりますが、平屋の場合「30坪なら〇万円くらい」という考え方は避けた方が良いでしょう。 平屋はライフスタイルに合わせてしっかり考えないと暮らしにくくなってしまうことがあるため、建てる人によって費用が大きく変わるためです。もちろん費用は大切な検討要素ですが、金額ありきになって残念な新築にならないようにしましょう。 平屋の場合はまず施工店にどんな平屋を建てたいか相談し、土地などを含めて概算の予算を立てるのがおすすめです。私たち住まいづくりのプロなら、ご要望や希望エリアをお伺いすればざっくりした予算をお伝えできます。本格的な見積もりの前に予算を把握したいときも、ぜひお気軽にご相談ください。