老後も安心なバリアフリー平屋の間取りのコツ|車椅子対応や価格を抑える方法も
平屋はワンフロアで動線のよい間取りを実現しやすく、階段が無いので、バリアフリー対応や車椅子で生活している方におすすめの住宅です。
今回は、老後の住みやすさを見据えた平屋を建てたい方へ、バリアフリーな平屋の間取りのポイントを解説します。補助金を活用して建築費用を抑える方法についても解説していますので、バリアフリー対応の平屋を新築したい方、これから二世帯・三世帯同居するための平屋を検討中の方はぜひ参考にしてくださいね。
目次
■老後も安心なバリアフリーな平屋の間取りのコツ
■車椅子対応の間取りのポイント
・玄関の間取り
・トイレ・浴室の間取り
■バリアフリーな平屋におすすめの間取り
■バリアフリーな平屋の新築で価格を抑える方法
・フラット35Sが利用できる条件
・自治体の同居・近居支援助成金を活用する
■まとめ|平屋のバリアフリー化で老後や家族に優しい家に!補助金制度も活用しよう
■老後も安心なバリアフリーな平屋の間取りのコツ
・老後も健やかに、外出しやすくなるような設計を意識する
これから平屋を建てるなら、長く住み続けることを考えて老後も移動しやすく外出しやすい設計にしておくのがおすすめです。
平屋の二世帯住宅でご両親と同居を始めたい方は、ご両親が足腰に不安が出てきても自力で外出、帰宅がしやすいように寝室や居間から玄関までの段差が少なく動線の良い間取りを意識しましょう。
介護や支援が必要になってくると、外に出るのが億劫になってひきこもりがちになる高齢者の方のお話もお聞きします。今日は天気がいいから「家からちょっと出てみよう」と気軽に思えるような間取りの工夫が大切です。
始めから車椅子にも対応できるほどすべてバリアフリーの対策をしておく必要はありませんが、玄関を広めにする、段差を少なくして引き戸にする、階段は老後も上り下りしやすいつくりにするなどの対策はできます。
また、新築時には居室から玄関、玄関から屋外への動線に歩行を補助する手すりを設置できるスペースを想定しておき、必要な時にバリアフリー改修をするという考え方もあります。
・家族に遠慮しなくて済む「心のバリアフリー」を念頭に
二世帯住宅・二世帯同居の場合は特に、高齢者や障害のある家族の方が他の家族に遠慮していることも多いものです。こうした家族に遠慮する気持ちが気づかないうちにストレスになっていることもあります。身体だけでなく、「心のバリアフリー」も忘れないようにしましょう。
「トイレの回数が多いので寝室近くにいつでも使えるトイレが欲しい」「他の家族より早めに寝るのでリビングのテレビの音が気になる」など、気になっていることを小さなことでもヒアリングしていけば、お互いに遠慮や過剰な気遣いをせずに快適に暮らせる間取りをつくりやすくなります。
■車椅子対応の間取りのポイント
次に、車椅子の方も快適に住める平屋の間取りのポイントを紹介します。バリアフリーリフォームでも要望が多い「玄関」「トイレ・浴室」の2ヶ所について解説しますので、車椅子対応の平屋の間取り作りの参考にしてください。
・玄関の間取り
・車椅子、歩行器の収納スペース・スロープ
車椅子の予備や外出用、室内用で車椅子を分けている場合などの保管場所があると便利です。玄関土間とホールの段差と玄関ドアの外(アプローチ)にスロープを設置すれば、1人でも出入りができるようになります。玄関土間には電動の段差昇降機をつける方法もあります。半畳ほどあれば車椅子に乗ったまま乗降できます。
・靴の脱ぎ履きがしやすい玄関収納
玄関の土間部分の、車椅子に乗ったままでも出し入れしやすい位置に靴箱や玄関収納を設置すると靴の脱ぎ履きがしやすくなります。ある程度の高さがあると出し入れしやすい他、下部が空いているフロートタイプなら下に車椅子を収納するスペースを作れます。
・滑りにくい床材
玄関土間やアプローチが雨で濡れていると滑りやすく転倒の危険があります。玄関の床は滑りにくい加工を施した外装用タイルやオフィスでよく使われるタイルカーペットがおすすめです。タイルカーペットは車椅子で乗るとタイヤの水濡れや泥がある程度落とせて張替えも簡単です。
玄関ドアやアプローチには雨が当たらないよう屋根や庇を設置しましょう。
・居室までの距離を短く、通路を広く
車椅子の方のお部屋と玄関までの距離は短く、通路幅を広く取りましょう。車椅子を無理なく旋回するには140cm程の円が入るスペースが必要です。また、部屋から玄関までの通路には段差や障害物が無い状態がベストです。
・トイレ・浴室の間取り
・トイレは2つあるとベター
車椅子の場合トイレに時間がかかりやすく、またトイレまでの移動にも一苦労ということも。通常のトイレに加えて、寝室近くにもう1つトイレがあると本人も家族も気兼ねなく好きな時にトイレを使えます。
・トイレの広さ
車椅子で使いやすいバリアフリー対応のトイレの広さは約0.75坪(幅120cm以上×奥行き160cm)以上が目安です。
トイレ内にも洗面台を設置する場合は2畳(約1坪=幅180cm×奥行き180cm)程度あると使いやすくなります。出入り口は引き戸にすると使いやすくなります。
・手すりを設置する
手すりの位置を決めるときは、できれば本人に使い勝手をチェックしてもらいましょう。また、将来位置を変えられるように下地を大きく取るなどの工夫もできます。
・洗面台の下はオープンに
洗面ボウルの下をオープンにすると、車椅子から蛇口に手が届きやすくなります。収納は玄関と同様手の届きやすい位置に設置しましょう。
・浴室の間取りのポイント
浴室はバリアフリー対応の電動浴槽移乗台付きにする方法と、浴槽に移乗台をかけて入浴する方法があります。
電動移乗台付きの専用ユニットバスは約1.5坪の面積が必要です。建坪や予算に合わせて選択しましょう。浴槽で移乗台に座ったままシャワーを浴びられるように、浴槽のある面の壁にシャワー水栓を付けるアイデアもあります。
■バリアフリーな平屋におすすめの間取り
・オープンキッチン
キッチンはダイニング(リビング)を仕切られていないオープンキッチンがおすすめです。壁付けキッチンやアイランドキッチンは車椅子も通りやすくなります。また、シンクの下をオープンにすると車椅子でも洗い物や調理ができます。
・床に棚や物を置かない収納の工夫
ウォークインタイプのパントリーや、リビングクローゼットは、様々なものをまとめて収納できます。床に棚があると通路が狭くなってしまう場合は、動線を踏まえた造り付け収納を取り入れましょう。
・デッキスペース
気軽に庭や外の空気を感じられるように、庭へ続くデッキスペースもおすすめです。リビングや廊下などに掃き出し窓を配置して、室内から直接デッキスペースへ渡れる間取りなら気軽に使えます。
■バリアフリーな平屋の新築で価格を抑える方法
バリアフリー対応の住宅設備を導入するとどうしても工事費が高くなりがちです。金利が有利な住宅ローンや補助金も上手に活用して快適な家を建てましょう。
・フラット35Sが利用できる条件
フラット35Sは、フラット35の借入金利から年▲0.25%で利用できる住宅ローンです。これは、質の高い住宅を建てる人を金利面で支援するための金利引き下げで、バリアフリー性の高い住宅を新築した際も条件を満たせば利用できます。
【フラット35】Sのバリアフリー性の基準(新築一戸建ての場合)
①高齢者等配慮対策等級4以上の住宅=金利Aプラン(当初10年間金利引下げ)
②高齢者等配慮対策等級3以上の住宅=金利Bプラン(当初5年間金利引下げ)
住宅の性能基準は下記のフラット35ホームページで確認できます。
バリアフリー性に関する基準(高齢者等配慮対策等級4(共同住宅の専用部分は等級3))の概要
・自治体の同居・近居支援助成金を活用する
バリアフリー対策の有無にかかわらず、二世帯同居で平屋を新築する場合は自治体の二世帯住宅や同居支援助成金を利用することもできます。千葉県、茨城県の市町村が実施している二世帯住宅や新築住宅に関する助成制度も忘れずにチェックしましょう。
千葉県HP「市町村が行う住宅にかかる支援制度(3世代同居、隣居・近居)について」
茨城県HP「茨城県内の地方公共団体(市町村)の住宅関連助成制度(R3年度)」
■まとめ|平屋のバリアフリー化で老後や家族に優しい家に!補助金制度も活用しよう
今回は平屋のバリアフリー対応、車椅子対応の間取りづくりのポイントについて解説しました。二世帯同居で平屋を新築するという方はぜひ参考にしていただきたいと思います。
バリアフリー対応の間取りは、全てに対応して始めから介助前提の家を建てるのではなく、高齢の方や障害のある方本人がなるべく自分でできることを継続してできるような配慮が最も大切です。
今回ご紹介した住宅ローンや助成金も上手に活用して、家族みんなが身体・心のバリアフリーを実現できる平屋を実現してくださいね。
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ハウジング重兵衛 編集部のプロフィール
新築を中心とした住宅業界
免許登録
・一級建築士事務所 登録番号 第1-2004-7311号
・国土交通大臣 許可(般-5)第25003号
・宅地建物取引番号(5)第13807号
資格情報
・一級建築士
・二級建築士
・インテリアコーディネーター