二世帯住宅の固定資産税は節税・減税できる?二世帯住宅と税金の話
最近は、新築で二世帯住宅や三世帯住宅を求める方が増えています。
新たに親世帯、子世帯と同居するための家を新築する予定の方で、
「固定資産税は誰が払うの?」
「二世帯住宅だと税金が安くなると聞いたことがあるけどほんと?」
などの疑問が浮かんでいる人もいるかと思います。
今回は、二世帯住宅の税金について詳しく解説します。家づくりを始める前にぜひ参考にしていただきたい内容になっていますので、最後までお読みいただければ幸いです。
目次
■新築一戸建ての固定資産税の計算方法
・一戸建て新築時の固定資産税の算出基準
・固定資産税の平均、相場は?
■二世帯住宅の固定資産税、誰が払う?登記の種類とそれぞれの節税メリット
①単独登記の場合
②共有登記の場合
・親の単独登記・共有登記は相続税対策になる
③区分登記の場合
・区分登記は固定資産税・不動産取得税の節税効果が大きい
■まとめ|家族ごとに最適な建て方は違う!工務店や住宅会社へ事前の相談は必須
■新築一戸建ての固定資産税の計算方法・相場
初めに、固定資産税はどんな税金なのかを簡単に解説します。
固定資産税は地方税の1つで、不動産などの個人が所有している固定資産に対して課税される税金です。
住宅の場合は居住用の建物と土地、ガレージ※や小屋など所有する土地に建っている家以外の建物も課税対象になります。
※屋根を柱で支えただけの構造のカーポートは基本的には課税対象になりません。自治体によって細かな条件が異なることがあるので事前に確認しましょう。
・一戸建て新築時の固定資産税の算出基準
固定資産税は所有している建物と土地の評価額を元に算出されます。標準税率は1.4%(自治体によって異なる場合あり)で、評価額の1.4%が毎年課税されます。
固定資産税=家屋・土地の評価額×固定資産税税率1.4%
土地の固定資産税評価額は土地の面積×最新の路線価(路線に面する宅地の1m²当たりの評価額)で算出されます。路線価は国税庁が公開している路線価図で調べられます。
建物の評価額は、新築時は家屋調査によって決定され、請負工事金額の約40~60%が評価額の目安です。評価額は3年ごとに見直され、直近では今年度が見直しの年度になります。家屋は新築の状態から住み続けるうちに年々評価額が下がっていくので、3年間隔で固定資産税額は徐々に減少していきます。
・新築住宅は固定資産税の軽減特例がある
注文住宅を新築する場合、2022年3月31日までに建てられた住宅に対して適用される固定資産税の軽減措置が受けられます。
具体的には新築してから3年間、居住面積の120㎡相当までにかかる固定資産税が1/2に軽減されます。さらに、住宅が長期優良住宅の場合は5年間1/2に軽減されます。
なお、軽減措置を受けるには、居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下の条件を満たす必要があります。
また、住宅用地に対しては土地の評価額を約1/6に軽減する特例があります。評価額が約1/6になるので、固定資産税額もその分少なくなります。特例の対象となるのは住宅用地のうち小規模住宅用地(1戸当たり200㎡までの部分)となる部分で、200㎡を超えた部分は1/3の軽減率になります。
・都市計画税が課税される地域もある
「市街化区域」内のエリアでは「地方計画税」が課税される場合があります。税率は最大0.3%で、固定資産税と同じく土地と建物の評価額に対して課税されます。
それぞれの自治体の固定資産税の計算方法・税率や、都市計画税の対象地域・税率などは、各自治体のホームページや窓口で調べられます。また、都市計画マップをインターネットで公開している自治体もあるので、購入予定の土地の地域は先にチェックしておくのがおすすめです。
・固定資産税の平均、相場は?
新築住宅で初めての固定資産税の相場は10~30万円です。地域によって土地の評価額に差があるため、地価が高いエリアでは固定資産税も高くなる傾向があります。
60坪(約198㎡)で評価額400万円の土地に居住面積35坪(約115.5㎡)・評価額1500万円の家を新築したと仮定して、固定資産額をシミュレーションしてみましょう。
土地の固定資産税は、土地が200㎡以内なのですべて小規模住宅用地となり評価額が1/6になります。
①土地の固定資産税額 400×1/6×1.4%=約9300円
家屋は120㎡までの評価額が1/2になるので、下の計算式になります。
②家屋の固定資産税額 1500×1/2×1.4%=約105000円
①と②を合わせて、固定資産税額は約114300円ということになります。
新築で住宅を建てる工務店やハウスメーカーに相談して、事前に予定している土地やエリア、建物の規模などを伝えて固定資産税額をシミュレーションしておくと安心です。
■二世帯住宅の固定資産税、誰が払う?登記の種類とそれぞれの節税メリット
固定資産税は1月1日時点で土地・建物の所有者として登記されている人に課税されます。
二世帯住宅の場合、登記は次の3つのパターンがあります。
①単独登記の場合
二世帯住宅を一棟の建物として、親または子どちらか一人の所有として登記することを単独登記といいます。玄関やLDKがそれぞれ分かれている完全分離型でも単独登記にできます。
固定資産税は収入で決定されるものではないので、支払い能力にかかわらず額が決定されます。そのため、家族で事前に相談して毎年税金を支払う人を決めて登記しておくのが理想です。
親の単独登記の場合、後に子に相続した場合は相続税が発生します。また、子が建築費用を負担したが親の単独登記にした場合は、名義人への贈与とみなされ贈与税がかかるケースがあります。また、住宅ローン控除は登記した人のみが利用できる点も覚えておきましょう。
②共有登記の場合
二世帯住宅を一棟の建物として、親と子で共有登記した場合は、出資割合に応じて登記が行われます。納税通知書は代表者1名宛てで届くことが多いですが、支払い義務は共有登記した全員にあります。この場合の支払い方法は事前に協議しておくのが理想的です。
共有登記の場合は、親と子のどちらも住宅ローン控除を利用できます。
また、共有登記の場合は新築にかかった費用に応じて登記していれば贈与税は発生しません。
・親の単独登記・共有登記は相続税対策になる
親の単独登記または親と子の共有登記の二世帯住宅は、被相続人と同居していた親族が自宅を相続する時に、相続した自宅の土地のうち330㎡までの評価額を80%減額できます(小規模宅地等の特例)。
被相続人の配偶者以外の親族(子やきょうだいなど)がこの特例を受けるためには、相続税の申告期限までに土地を保有し、居住していることが条件になります。
相続税は土地だけでなく建物や財産にもかかりますが、土地の評価額を80%も減額する節税効果は大きく、場合によっては基礎控除を引くと税額が0円になるケースもあります。
<参考ページ>
国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
③区分登記の場合
二世帯住宅を親世帯、子世帯でそれぞれ別の2戸の住宅として登記する区分登記は、完全分離型の二世帯住宅のみで行える登記方法です。1階は親世帯、2階は子世帯などに分けて登記します。共有登記と同じく、親と子どちらも住宅ローン控除を利用できます。
区分登記ができる条件は、親世帯と子世帯でそれぞれ独立して生活できる住宅になっていること、内部で行き来できる場合は、通路が施錠可能な扉で仕切られていることなどです。
・区分登記は固定資産税・不動産取得税の節税効果が大きい
区分登記にした場合は、それぞれの所有する土地・建物に対して別々に固定資産税がかけられます。別の住宅としてそれぞれに軽減措置を適用できるので、固定資産税の節税効果は大きくなります。
また、完全分離型は不動産取得税の減税効果も大きくなります。
不動産取得税は、新築時や不動産取得時に1回だけ課せられる県税で、1世帯当たり評価額から1200万円を控除した額に3%をかけたものが税額になります。
区分登記した完全分離型の二世帯住宅では、控除額が1200万円×2世帯になるので最大2400万円が控除されることになり、大きな節税になります。
不動産取得税の軽減措置は、それぞれの住居が50㎡以上240㎡以下の床面積であることなどの要件があります。
<参考ページ>
千葉県HP「不動産取得税の軽減について」
茨城県HP「不動産取得税Q&A」
・区分登記は相続税の軽減特例は受けられる?
区分登記された二世帯住宅で、被相続人(親)が亡くなった後に子が二世帯住宅を相続する場合、親の区分については相続税の小規模宅地等の特例が利用できないので注意が必要です。
■まとめ|最適な二世帯住宅の形はそれぞれ違う!工務店や住宅会社へ事前の相談は必須
今回は、二世帯住宅を建てる前に知っておきたい税金について詳しく解説しました。
登記区分の違いで固定資産税、不動産取得税、、贈与税、相続税にそれぞれ異なるメリットが得られます。
家が建って登記してしまった後で変更するのは手間もコストもかかるので、二世帯住宅で節税の恩恵を最大限受けたい場合は事前に土地や建物、間取りに応じた税額をシミュレーションして比較することが大切です。
シミュレーションはケースバイケースなので、自分で行うにはなかなか難しい部分があります。そんなときは、家づくりのマネープランのプロである住宅会社の営業マンやFPに遠慮なく相談しましょう。
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ハウジング重兵衛 編集部のプロフィール
新築を中心とした住宅業界
免許登録
・一級建築士事務所 登録番号 第1-2004-7311号
・国土交通大臣 許可(般-5)第25003号
・宅地建物取引番号(5)第13807号
資格情報
・一級建築士
・二級建築士
・インテリアコーディネーター